🗓 2021年09月23日

金融庁も危ない橋を渡ることになった。今までだったらみずほの責任だけで経営者を処分するだけでよかったが、次にシステム障害が起こったら金融庁の責任=国家の責任となる。いみじくも週刊誌の初めの文章は、みずほの担当者が銀座の高級クラブでベンダー(システム開発会社)をこき下ろす場面から始まる。経営企画部を頂点としたピラミッドで表すとシステム部門は最下等の扱いで銀行内での扱いも低い。それでヒエラルキーの最下等にいる銀行の担当者が、より立場の弱い受注者側に管を巻いている場面である。さもありなんである。米国の大手銀行では社員の3割がITエンジニアだそうだ。日本の銀行は4%だそうだ。人数からしても邦銀でシステム担当部門の地位と発言力は弱い。

大型合併によって誕生した東京三菱UFJ銀行や三井住友銀行は初めから一つのベンダーでシステムを構築したのだが、みずほはそれまでのしがらみから各銀行で使っていたベンダーを温存した。すなわち日本IBM,富士通、NTTデータ、日立製作所である。もとより全体像をつかめるはずもなく、合併初期にシステムに携わった社員も鬼籍に入り、原因究明はほぼ絶望的である。

合併銀行特有の縄張り争いが先行し、銀行経営の基本的なシステムに重きを置かなかった、当時の3行の経営責任者(頭取)の資質の問題があった。現経営者が減給や辞職勧告を受けても、身に覚えがないことで当事者意識は起こらないであろう。

いずれにしても、金融庁はルビコン川を渡った。みずほ銀行が自力で解決できないことは判明したのであるから、きっちりと日本の金融システムが国際社会での役割を果たせるようにしてほしいものだ。今後、みずほで通帳が戻らないとか決済不能の案件が起これば、みずほは市場から退場しか道は残らない。みずほグループ社員は相当いる。「トービッグ、トーフェイル」の問題も見えてくる。みずほのトラブルは「負け越し」連続で、すでに大相撲でいえば横綱審議会の「横綱返上しろ」「引退勧告」の段階を超えた。

(文責:岩澤信千代)