🗓 2021年03月08日

しょくをしてしょくを失う愚かさ

 
菅首相の長男の勤務する東北新社の接待疑惑では減給で済んだが、隠していたNTTの高額接待も明らかになり、谷脇康彦総務審議官は大臣官房付に異動となった。総務次官を目の前にしてもったいなことである。
 国家公務員倫理法に違反する行為が繰り返し行われたことは、善悪の判断が完全に麻痺してしまったのだろう。ゴチ広報官とともに業者にお手盛りの決済をしていただろうと容易に判断できる。見返りがないのであれば業者は大金を払わないはずだ。
 不思議なのは 武田良太総務相の責任問題が浮上しないことである。
 監督責任は大臣にあるはずなのだが、閣僚給与3カ月分を自主返納にとどまっている。二階グループの威力か。これだけ高級官僚が任を解かれているのに監督責任者が職を辞さないのは合点がいかない。
 問題の深層部分があぶりだされれば無傷では済まされないだろう。報道を見ていれば、接待業者が法令違反になっても免許取り消しにならないなど不審な点が多く、単なる食事会ではなく行政が恣意に行われていたことが想像できる。
 テレビのコメンテーターが言っているように「ゴチ報道官は民間人になったから真相究明のための国会召還などできない。」などと言う官房長官発言は詭弁である。国会での野党の質問は作戦ミスで「国家公務員倫理法違反」でなく贈収賄で追及すべきだったという意見もある。追及する為の証拠の根拠は「文春砲」に頼っているので仕方がないのだろうが。録音テープまで用意する文春の取材プロセスは最近評価を上げている。罪を犯したのは現職官僚の時である。官僚が職を辞めたら許されると言うことなら、内緒で悪いことをしても退職すれば追及から逃れられるということになってしまう。悪知恵の働く奴は、円満退職まで水面下でうまく懐を潤すことに専念するようになるだけだ。

(文責:岩澤信千代)