🗓 2024年09月13日

 八重顕彰会がホームグランドにしている大龍寺の住職のご母堂がお亡くなり昨日葬儀が厳粛に執り行われた。享年97歳の天寿を全うされた。大体高齢の方の葬儀は同級生も鬼籍に入り寂しいものであるが、ホールから飛び出して追加の椅子が並べられるほど盛大なものであった。

 当然のことながら葬儀の終了局面で喪主の謝辞がある。増子大道師は立ち上がり、母親の遺影に向かい「母ちゃん有難う。本日は有難うございました。」わずか数秒。私が参列した葬儀の中で喪主の挨拶として最短であった。正直唖然とした。

「母ちゃん有難う」古刹の住職が親愛をこめて放ったこの言葉に息子の気持ちが凝縮されている。親孝行を尽くした満足感もあるのだろう。故人は私の家の近くの施設に入所しておられた。住職の妻(正式には寺庭夫人というらしい)は毎日施設に見舞っていた。近くにリオンドールというスーパーがあるのだが、そこでよく出くわした。

故人はNHKの番組にも出演した。綾瀬はるかと堂々と渡り合った。

話好きで私も2時間ほど軟禁されたことがある。寒い日で炬燵があった。住職に用事があったので訪問したのだが炬燵に上がり込んでしまった。そこで故人が初めて大龍寺に来たことから始まった。「親と汽車に乗ったときはうれしかった。修学旅行の気分だった。今度引っ越すところは高台ですごく眺めがいいところだ。」汽車に乗るのは初めて眺めがいいと聞いて着いたのが大龍寺であった。眺めがいいどころか鬱蒼とした木のおかげで何も見えない。騙されたと思ったと笑いながら過去を懐かしんだ。葬儀場で懇意にしている表具屋さんに会った。故人が教師をしていた時の教え子だ。小学校を卒業し何十年、教師として教え子に慕われていたことが証明された。

本葬儀では短かったが「夕食の使い」では喪主である住職がその戒名の由来を雄弁に語っていたが、飲み始めたころなのでざわざわしていて私には良く聞こえなかった。

(文責:岩澤信千代)