🗓 2024年12月09日
「それじゃあ、つまらない。何でやるのか。究極は、泣くためですね。涙を流すために俺はやってる。そういうことですよ」
元早大監督清宮克幸の言葉である。
知と熱。集まり参じて人は変われど、100回の歴史を重ねてなお、毎年のように早稲田ゴール前で攻防が繰り広げられるのは、早稲田と明治の両校に、解読不能なDNAが埋め込まれている――としか思えない。
早稲田と慶應への尊敬。他校をリスペクトすることで、田中政権下の明治は強さを取り戻した。ライバルを知って、明治の強みに立ち返った。
そして清宮も、明治へのリスペクトを示し、こう語る。
「スイッチが入って噛み合うと、とんでもない力を発揮する。めちゃくちゃ強い。でも集中しないとポロッと負ける。ファンにとっての『愛されキャラ』なんです。人間らしい。いまはムラのある試合はしなくなった。明治と早稲田の違いも昔ほどではない。それでも、あの紫紺のジャージーは100年以上の歴史を引き継いでいる」
赤黒と紫紺。
早明戦は、人を純粋にさせる。
だから、尊い。
(NUMBER WEB)
一週間たつというのに、ラグビー早明戦は記事になっている。戦前の予想を覆して劣勢のチームが勝利することも多い。早明戦にはドラマが常に隠されているからだ。両校の選手は早明戦には想いが強く、予想外の力が湧き出るようだ。純粋にさせる。だから我々は40年以上毎年、観戦し続けているのだ。あと少しで50年になる。あとは寿命との戦いだ。
(文責:岩澤信千代)