🗓 2025年05月10日

 パウエル議長は先月16日、シカゴ経済クラブでの講演でもほぼ同様の発言をした。先月2日の相互関税発表とその後の相互関税猶予、対中関税強化により市場が極度に混乱していた時期だ。「関税が米国経済にマイナスになる」というパウエル議長の指摘にトランプ大統領は激怒した。翌朝からSNSでパウエル議長を解任できると脅し、「彼は私が出て行けと言えばすぐにアウトだ」とまで言った。それにもかかわらず、パウエル議長はこの日の記者会見で信念を曲げなかった。

 パウエル議長の答えは明快だった。「私と同僚たちは皆、困難な状況を乗り越え、正しい決定を下すことに集中している。我々が奉仕する人々にとって最良の決定を下そうとしており、これが我々が昼夜考えているすべてだ」

 FRB議長と理事の任期は大統領の思い通りにはならず、金利も大統領の意向ではなく経済の実態に即して決定されるべきであり、ただそれだけを考えているということだ。米中央銀行の独立性が容易に得られたものではないことを示した会見だった。(kangnamtimes)

 パウエル議長は信念の人だ。中央銀行のトップを辞任させることになれば米国史上最大の汚点となる。トランプは遅かれ早かれ関税政策の失敗に気づく。だがマッドトランプを選んだ米国民に火の粉が降ってくるのはこれからだ。子供におもちゃを買ってあげられない悲劇に国民の怒りは何処へ行くのだろうか。

(文責:岩澤信千代)