🗓 2022年11月15日

文芸春秋12月特別号を読んでいて驚いた。AIが和歌を作ることができるようになったのだ。すでにチエスや将棋と名人が世界王者と争っていることは周知のとおりである。和歌までもAIは活躍し始めたか。投稿者は浦川通氏である。さすがに文中には「和歌(のようなもの)」ができたと謙遜している。花と和歌を合わせて贈答品にする試みも始まったという。

古来和歌は日本人の心情の発露として尊敬されてきた。情景を読むもの恋人と別れなければならない朝のつらさとか歌に投影してきた。会津では遠く福岡へ防人(さきもり)に行く兵士が「褌を締めて浮気など決してしない」などと貞操の歌も残る。

吉田松陰の辞世区の句は有名だ。

身はたとひ武蔵の野辺に朽ちぬとも とどめ置かれし大和魂

長州の山本先生の連絡絵葉書はこれか松陰神社の写真である。

和歌の中でも辞世の句は詠み人の一生を集約したもので多くの感動を我々に訴えてきた。

会津藩の戦争責任を一身に背負って遺した句も哀惜を伝える。

内容は故郷で息子が帰ってくるものと思っている母が息子が自刃したという便りを聞くとは・・・。親不孝の私を許してください。

限りあればふかねど花は散りぬるを 心短き春の山風

旧会津領主蒲生氏郷の辞世の句である。勇猛果敢で知将と言われ人望も厚かった氏郷は地位を脅かされた豊臣秀吉が毒殺をしたという噂が遺る。時に恵まれれば天下人になっていたかもしれないが短命であった。

ボキャブラリーを入力すればそれにふさわしい言葉を選び和歌が出来上がるらしい。

俳句や和歌を趣味とする皆さん、安心してください。私は永遠に人の情が顕れる和歌はAIには出来ないと思っています。

(文責:岩澤信千代)