🗓 2023年02月04日
吉海 直人
1年365日、必ず何かの記念日になっています。では2月8日は一体何の日でしょうか。小さな記念日としては誰かの誕生日ということもあります。大きな記念日に絞っても、複数の候補があげられます。
年中行事としては「針供養の日」でしょうか。これは使えなくなった針を豆腐やこんにゃくなどに刺し、針を供養することで裁縫の上達を願う伝統行事です。事八日(御用始め)の2月8日や、場所によっては12月8日に神社やお寺で行われています。
その他、昭和34年2月8日は黒部トンネルが貫通した日でもあります。工事の大変さは木本正次が『黒部の太陽』(昭和39年)という小説に描いており、昭和43年には三船敏郎・石原裕次郎郎主演で映画化までされています。
また対外的には、日露戦争勃発の日ともされています。明治37年2月8日に日本軍(連合艦隊司令長官・東郷平八郎)が旅順港に停泊していたロシア(ソ連)軍の艦船に攻撃を開始したからです。
もちろん語呂合わせで「椿の日」にもなっています。これは椿の産地である長崎県五島市が独自に制定したものです。ただし語呂合わせ(ツー・パー)ではすっきりしませんね。そのためか資生堂は、これをTSUBAKI(椿シャンプー)の日にしているようです。これで髪を洗うと艶(ツ・ヤ)が出るという語呂合わせです。
むしろ「ニッパーの日」の方がすっきりします。もっともこのニッパーは、コードを切断する時に使う工具のニッパーではありません。ビクターのロゴマークとして使われている犬(フォックステリア)の名前がニッパーだったのです。それは客の脚によく噛みついたということで、工具の名前が付けられたとのことです。
これには面白い話があります。イギリスに画家の兄弟がいました。兄のマーク・バラウドはニッパーという犬を飼っていましたが、亡くなってしまいました。そこで弟(フランシス・バラウド)がニッパーを引き取りました。たまたま兄の声が吹き込まれていたシリンダー型の蓄音機を犬に聞かせたところ、ニッパーは飼い主の声にじっと聞き入っていたそうです。それを見て感動した弟は、さっそくそれを絵に書き「彼の主人の声」(HMV)というタイトルを付けました。それは1889年のことです。
早速その絵をシリンダー型蓄音機のエジソン・ベル会社に売り込みに行ったところ、反応はよくありませんでした(犬は蓄音機を聞いたりしない!)。そこで今度は円盤型蓄音機の発明者ベルリナーに売り込んだところ、その絵を自社の製品の商標にしたいという話になりました。それは1900年のことです。ただし原画に書かれていたシリンダー型蓄音機のままでは困るので、円盤型蓄音機に書き直すことが条件でした。こうしてあの有名な蓄音機に耳を傾ける犬の絵が誕生しました。ビクターの犬(ニッパー)にはこんな由来があったのです。
もう一つ、私の一押しは郵便マーク制定の日です。これは明治20年の2月8日に逓信省が「〒」を徽章として制定したと通達を出した日でした。ところが2月14日に訂正が入ります。なんと8日の通達では「〒」が「T」になっていたのです。もっとも逓信省のイニシャルとしてなら「T」で間違いはありません。それもあって誰かが勘違いしたのでしょう。なんともお粗末な話ですが、それ以来今日まで郵便マークとして親しまれてきました。
ついでですが、みなさんは郵便ポストは最初から赤だったと思っていませんか。「郵便ポストが赤いのも」というフレーズがあるくらいですから、そう思うのももっともです。ところが最初はなんと黒塗りでしたえ。しかしこれだと夜に目立たないということで、赤く塗り変えられたという話です。
色だけではありません。かつて郵便ポストは郵便箱といわれていました。その「郵」という漢字がわからず、「垂」という字と勘違いした人がいたようで、ポストに立小便する人が後を絶たなかったそうです。この話はかなり眉唾くさいですね。
いかがでしたか。2月8日にはこんなにたくさんの記念日が集まっていたのです。