🗓 2024年03月24日

 出場を危ぶまれた尊富士が110年ぶりの自力で新入幕優勝を成し遂げた。優勝インタビューも気負いもなく淡々と答えていた。彼のしぐさを見ていて気が付いたことがある。取り組み前座布団の上で待機しているのだが、いつもあたりをキョロキョロ見まわしている。幕内に入りどんな状況か珍し気に周りを鑑賞しているようだ。これから場所を重ねるにつれ、待機中は作戦を考えたり、相手に闘志を見せつける為のにらみなども備わってくるだろう。青森県五所川原のお母さんは昨日の取り組みを見てさぞ心配したであろう。今日は本場所で息子の晴れ姿を見ていたようだ。自慢の息子になった。私はテレビの前でビールを飲んで観戦しようと思っていたのだが、女房が海が見たいというのでいわき方面四倉海岸に行ってきた。出かけるのが昼過ぎで帰りの車でのラジオ観戦となってしまった。焼き鳥の皮を食べながら快挙を見届けようと思っていたのだが「おいら岬の灯台守は・・・」の塩屋崎灯台など見学してきたら、取り組みの時間には磐越自動車道を走っていて、車の中のラジオでその快挙を聞くことになった。

 昨日、尊富士が太宰治の故郷青森県五所川原市であることを知った。たまたまユーチューブで太宰治の生涯を見た日に判明した事の偶然は恐ろしい。かつて太宰治は女性と心中したことで一気に興味を失った作家である。

 でも尊富士と大の山のホープは応援しなければならないだろう。わが大波兄弟にとっては大敵が現れた。これは年回りなのでいかんともしがたい。優勝するためには今、ザンバラ髪のこの二人に勝つしかない。今角界を揺るがしている伊勢ケ浜一門の力士だ。尊富士は宮城野親方の不祥事を一瞬だけど吹き飛ばしてくれた。

(文責:岩澤信千代)