🗓 2026年03月07日
吉海直人
NHKテレビの「チコちゃんに叱られる!」で、「なぜ2月は28日までしかないの?」という質問がありました。その答えがやや曖昧で納得しにくかったので、もう少し補足説明することにします。なお余計なことかもしれませんが、この問題は10年以上前にフジテレビの「理由ある太郎」で出題されたことがあります。
最初に「2月が28日までしかない」は、日本の暦ではありえなかったことをいっておきます。いわゆる旧暦は月の運行が基準になっていますから、1ヶ月は29、5日でした。それを大の月(30日)と小の月(29日)に分けるので、そもそも28日しかない月などありえません。
それが明治6年に西洋の太陽暦(グレゴリオ暦)を導入したことで、初めて2月が28日になったというわけです。当然その理由は外国の暦に求めなければなりません。その大本は古代ローマの暦です。もっとも暦というのは農耕のために必要なものだったので、古くはギリシャの太陰暦が基本でした。
ただし当時偶数が忌避されていたこともあり、ローマ歴の一つのヌマ暦では31日(4回)と29日(8回)に分けられていました。そうなると1年が356日(偶数)になるので、どの月かを一日減らさなければなりません。そのために②月から1日減らして28日になったというわけです。では何故2月かというと、当時1年は3月から始まっていたからです。農耕ですから春の種まきが1年の始まりだったのです。そうなると2月は1年の終わりに当たります。だから2月で年末の調整が行われたというわけです。
かつて1年が3月から始まっていたことの名残が、現在も9月と10月の英語名に認められます。9月はセプテンバーですが、これはセブンと同じ語源です。また10月のオクトーバーは、蛸のオクトパスあるいは音楽のオクターブと同じく8(ラテン語のオクト)を意味します。ガソリンで使うハイオクのオクタンも同様ですし、株札のおいちょかぶの「おいちょ」も8を意味するポルトガル語(Oito)でした。
これを1月から数えると数字が2ヶ月ずれてしまいますが、3月から数えてみるとピッタリ合っていることがわかります(7・8番目)。もともと3月始まりだった暦を、ユリウス・カエサル(ジュリアス・シーザー)が1月から始めたことの歪みが、月の名称に残っているというわけです。
ついでながら7月は、かつては5を意味するキンテリス(Quintilis)でしたが、カエサルが自らの誕生月である7月をジュライ(Julius)に改めたといわれています。それだけでなく続く、初代ローマ帝王アウグストゥスも、カエサルに倣って自分の誕生月であるセクスティリス(Sextilis)をオーガスト(Augustus)に改名したといわれています。
その際、アウグスツスはユリウス暦では8月が30日しかないことに不満を抱き、無理に8月を31日にしました。そうなるとどこかの月を1日減らさなければなりません。当時のユリウス暦(エジプト由来の太陽暦)は1年が365日だったので、2月は29日になっていました。それがアウグストゥスのせいで、またもや28日に減らされてしまったのです。なんと2月は太陰暦と太陽暦と、二度も28日に調整されたのです。
なお、カエサルとアウグストゥスの二人が自分の名前を付けた7月と8月を暦に挿入したために、9月と10月の数字が二つ後にずれたとまことしやかに説明しているものもありますが、それは間違いです。挿入したのではなく名前を変えただけだからです。1年が3月から始まるという基本さえ押さえておけば、ほぼ合理的な説明がつくようです。
