🗓 2020年09月29日

大相撲秋場所で関脇正代が初優勝を飾り、大関昇進が確定するという。意外だったのは熊本出身者では初めてだという。他県在住ながら私も感慨ひとしおである。何故なら2016年(平成28年)4月14日(木)21時26分以降に熊本県と大分県で起こった震度7の大地震のの悲劇を思い浮かべるからである。熊本城の廓が一本の石垣で支えられている姿は衝撃的であった。熊本はその後洪水にもあい自然災害の直撃を食らった。
 その中での熊本初の大相撲優勝である。正代の快挙であり郷土の人々をどれだけ勇気づたかわからない。熊本県は会津と何かとつながっている。西南戦争で苦戦を強いられ熊本城に籠城した谷干城を救援したのは元会津藩家老山川浩である。同じく西南戦争で戦死した鬼官兵衛こと会津藩家老佐川官兵衛が戦死した場所である。官兵衛の死地南阿蘇村では興梠二雄さんが中心になり佐川官兵衛を顕彰されている。150年記念式典で興梠ご夫妻と会津風雅堂でお会いした。「鬼官兵衛記念館」は息子さんに順当に引き継がれたというお便りも頂いた。

大地震で最も被害が大きかったのは益城ましき町である。実はこの益城町は新島八重と深くかかわっている。この町の惣庄屋・矢嶋忠左衛門直明の5女つせ子は横井小楠に嫁いだ。その子供が横井時雄であり、その妻が山本覚馬の娘みや子なのである。また八重を「ぬえ」と呼んだ天敵徳富蘇峰の母は直明の4女久子である。会津の幼児教育の先駆者となった海老名リンなどと共に矯風会を主導した矢島梶子は6女である。明治初期矢島家の子孫は、多くの開明的な活躍をしたのである。詳しくは季刊旅ムックのHPでご覧ください。

菅総理大臣が誕生したが、秋田県初という。法政大学出身も初という。実は総理大臣を輩出した出身県や出身大学の数はそう多くはない。総理大臣を輩出している県や大学は実際のところ限られている。高校野球でもしかりである。いまだ東北では優勝した高校はない。白河の関を超えていないと言われるが、東北を通り越して北海道の駒大苫小牧高校が甲子園2連覇を成し遂げた。会津では伊藤正義が総理就任に一番近いところまで行ったが、体調不良を理由に本人が断った。勢津子妃殿下の皇族入りに次ぐ会津の快挙になりえたが、残念ながら会津の夢は打ち砕かれた。

現在コロナで苦戦を強いられているが、人類には人々になくてはならないものがある。音楽・歴史・音楽それにスポーツである。選手の多くが「ふるさとを元気づけることができてよかった」とインタビューで答える。まさにその通りなのである。同じ自然の中で空気を吸った同胞の活躍は大いに地元愛を刺激してくれる。大震災の中で猛練習したバトミントンの桃田選手にも期待したい。

正代関の優勝を祝福するとともに、人類が新型コロナを速やかに克服することを切に願う。!

(文責:岩澤信千代)