🗓 2020年09月30日

 私は彼岸花が好きだ。浜離宮で見た彼岸花の群生はきれいだった。伊勢参り仲間で行った四国旅行でバスの中から見た田んぼの畔に咲いた彼岸花はきれいだった。バスガイドの説明によるとネズミ除けのために畔に植えられているとのことであった。
 私が生まれた時から我が家の庭の同じ場所で同じ時期に咲いていた。当然育った子供のころには何の感傷もなかった。しかし老境に入った今は、過去の経験により、他所で感じた美しさを思い出すたびにうれしくなるのである。この花を見るともう少しで会津は冬を迎えるのだと感じ、約束を守って同じ時期に花を咲かせる彼岸花の律儀さに感動するのだ。

今日は気になってウイキぺデイアをのぞいてみた。知らなかったことがたくさんあった。まず曼珠沙華(マンジュシャゲ)と彼岸花が同一とは知らなかった。アルツハイマーの治療薬としても利用されていることも初めて知った。

 曼珠沙まんじゅしゃと聞いて新島八重の手紙を思い出した。明治23年3月初め、新島襄が死去して約2週間後に徳富蘇峰宛に出した手紙で神奈川県二宮町の徳富蘇峰記念館で所蔵されている。「庭に咲く梅の花の匂いもしない。うぐいすのなく声も哀れに聞こえる」と亡愛夫襄の死を悲しむ文面続く。嘆き悲しんでばかりいられない同志社の将来の発展を優曇華(うどんげ)の花咲くのを待つように気長に待ち続けたいと夫の志を貫徹させようという強い気持ちが込められている。優曇華は3000年に一度花をつけるという仏教上の架空の植物である。同志社英学校の永続性と発展を強く願っている。八重の願いは関西私学の雄として頑張っている現在の同志社大学に間違いなくかなえられている。

(文責:岩澤信千代)