🗓 2021年11月10日

日本は、18歳以下の子供に配布する補助金に関心を集めているが、今日の日経新聞を読んでいたら愕然とした。米国が撤収後、アフガンの政府を率いるのはタリバン政権になったが、女性差別が激しく、女性は学校にも行けず、就職も制限されており、国際社会は、そのタリバン政府の正当性を認めていない。

米国にあるアフガン中央銀行の保有する資産約90億ドルも凍結された。IMF(国際通貨基金)もタリバンが国際社会の承認を得ていないことを理由にアフガンへの支援を中止した。米国は1億4000万ドルを「人道支援組織」を経由して提供するという。バイデンは、後先を考えずアフガンから撤退した。本当に稚拙な撤退であった。米民主党が来年の中間選挙で敗北しトランプの復権も予想される。もっとも、最近の上院の補欠選挙では候補者が「共和党のトランプ」を隠して無党派層に訴え勝利したので、そのままトランプの復権につながるわけではないが。

地政学的にアフガンは重要でなく駐留経費は米国の負担になっているので、撤退はやむを得ないと思うが、その撤退のしかたに私も疑問を持つ。政府軍の兵力数や武器などどれをとってもタリバンより優れていたが、給料未払いなどで肝心の政府軍兵士には「忠誠心」がなかった。あっけなく逃げ散った。そして今のアフガンはタリバンとIS(イスラム国)が主導権争いをしている。

今ではタリバンの兵士も給料遅延で飢えているという。これから、冬になっていくので食糧難が心配だ。5歳未満の子供300万人が急性の栄養失調になるのではという予測もある。

「11歳女児が食料を買えず体重が13kg」という日経新聞の見出しが衝撃的だ。ちなみにアフガンの2020年度の国家予算4593億アフガニ(約5700億円)この内2301億アフガニが世界銀行など国際社会からの援助だそうだ。国家予算の50%が国際社会の援助であり、タリバン政権は国家運営の財政の根拠がないままだ。すなわち、タリバンは武力で政権を掌握したが、財政的に国家を運営できるかが試されている。その間苦しむのは、か弱き国民だ。

(文責:岩澤信千代)