🗓 2022年05月19日
山口県阿武町の給付金を誤って一人の男性に振り込んでしまった事件。振り込みを受けた青年はインターネットカジノでそのお金を使い果たしたという。笑うに笑えないことが起こった。阿武町はその公金を一括では取り戻せないだろう。
1996年の最高裁判例では理由の如何を問わず「受け取り人は預金債権(預金を引き出す権利)を取得する」というのがあるらしい。これは金融機関の役割を保護する観点からうち出されたものという。
尚且つややこしいのは受け取った当人が返すと言っている。働かなければ返済できない。仮に罪状を問い収監したとし、給料が入らなければその返済も期待できない。その青年には幾ばくの財産も持っていないらしいから差し押さえも無理だから回収はほぼ絶望的である。月々5000円として4630万を返済するには9260か月かかる。約800年かかる。また月々の給料がいくら以上で返済可能か、どの割合で返済するか法律の定めがあるらしい。裁判所は返済命令を出しても、生活費がかかるわけだから月々の返済金額は多い判決は望めない。
いろいろ誤振込の原因がいわれている。過疎化で役場の職員が少なくチエック体制が図られなかったなどである。金融機関も一人の顧客に公金の大金が振り込まれる異常性に気がつかなかったのか。役場の職員が振り込み票を持参して手続きを行っている。今の世の中のコミュニケーション不足が顕在化した。人為的ミスが何重にも重なった。2週間の間に資金を別口座に移したのだが町役場は「組戻し」とか「口座差し押さえ」とかしかるべき法律的対応をとっていなかった。
被害者然としてマスコミに映し出される町長は、為すべきことをなさなかった責任を取るべきである。公金を失ったのだから首長としてしかるべき責任を取るのが筋のような気がする。この青年を弾劾も弁解もするつもりはないが法律の盲点がさらけ出された大事件である。
(文責:岩澤信千代)
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