🗓 2023年01月28日

黒船来航は江戸幕府倒壊のきっかけになったことはみなさんご存じであろう。大老井伊直弼が朝廷に無断で条約を結んだことと将軍継嗣問題と複雑に絡んで攘夷派大名に敵対された。「歴史読本」の中の大久保治男氏の論文をご紹介しよう。

井伊大老は閣老間部詮房に日米和親条約条約締結を朝廷に説明させた。

外国よりの開国要請を拒否して戦闘を開いても外国に勝つ見込みは全くないから、現在は条約を結んで平和を維持し、その間に国防力を充実することが急務である。外国も通商を言ってきているので我が国を侵略することではない。

井伊と間部は公武合体によりこの国難を挙国一致で乗り切らなければならないと考えていたのである。そのためにもこの際攘夷派公家を根絶せねばならなかった。

江戸幕府は清国のように列強に国土を侵略されることを理解し、通商のみの要求くらい受けた方が良いのではないかと考えていたのである。

日本はこの不平等条約を解消するために鹿鳴館の活動をしたり長い年月と費用を要したが、外国との戦争を回避したことは江戸幕府もよいことをしたことになる。国内戦争の戊辰戦争ではなく西欧列強との戦いになれば日本は負け国土は切り取られ、今の繁栄など覚束なかっただろう。

そして、会津藩は徳川宗家に殉じて滅びてしまった。会津藩家老山川浩は使節団の一員としてロシアを訪問したことがあり、戊辰戦争ではロシアに支援してもらう構想があったという説があるが、もし、ロシアの支援で薩長を打ち破ったとしたら今の会津は樺太半島のようにになっていただろう。

国内戦争に留まったからよかったのだ。同様に薩長がイギリス、幕府がフランスの軍事力に頼ったら、大変なことになるところだったのだ。いずれにしても、我々日本人は愛国心と忠義に基づき血を流した多くの先人に敬意を表しなければならない。

(文責:岩澤信千代)