🗓 2025年01月01日

 昨日は宝くじの抽選があった。実をいうと私は10万円1本と5万円2本当選したことがある。5万円の方は何ら感動もない。何故なら、当時みずほグループの証券会社に勤務していたので付き合いで銀行の支店で買ったものだからである。付き合いだから毎回5万円ずつ買っていた。すなわち投資額を回収しただけだからである。

 問題は10万円の方である。ある正月酔っぱらってこたつで寝ていたら、家族の歓声で起こされた。10万円が当たったのである。何が何だかわからず過ごしていたのだが、間もなくして悲劇が起こった。郡山の従妹が交通事故で死んだのである。私には従兄が16人いるが中でも優秀な従妹であった。国立一期校岩手大学を卒業し郡山市役所に勤務していた。付き合っていた彼氏も葬儀に参列したのだがぼろぼろの革靴を履いていたのが印象に残る。これから明るい未来があるはずだった。従妹は雨の日自転車に乗って通勤の帰りだった。前方不注意の車に20歳前半にはねられた。もう一人従妹に御茶ノ水大学出身の才媛がいるが、郡山の彼女は小さいときに郡山からしょっちゅう我が家にきていて素直な子だった。

 何を言わんとしているか。宝くじの当選金10万はそっくり従妹の香典になったのである。火葬場での叔母の絶叫する姿は目に浮かぶ。好事魔多しと世間はいうが、宝くじがこんな悲劇につながるとは思いもよらなかった。それから大金を宝くじに投ずることをやめた。母親にミニ・ジャンボを買って来いと言われたので、私もバラを10枚だけ買ってきた。当然ハズレ。母親は3000円が当たった。母親の投資額は12000円。母親の当選金は私のタバコ代にいつも消える。高額当選ならそうはいかないだろうけど。

 喜劇と悲劇が裏表だということを教えてくれたのが宝くじなのだ。高額当選金が当たり、一家離散になったともよく聞く話である。

(文責:岩澤信千代)