🗓 2021年10月14日
「最近のバラマキ合戦のような政策論を聞いていて、やむにやまれぬ大和魂か、もうじっと黙っているわけにはいかない、ここで言うべきことを言わねば卑怯でさえあると思います。」から始まる矢野康治財務省事務次官の記事を見た。文芸春秋11月号である。ネットで話題になっていたので気になりセブンイレブンをはしごしてようやく3件目にあったので購入して読んでみた。
現役官僚の反乱かなどと憶測されていたが、読んでみて内容は非常におとなしい印象であった。同じく税金で給料をもらっているが、選挙で選ばれた国会議員に対して公務員の地位は低い。国民から選挙で選ばれた議員に公務員は逆らってはいけないという筋論がある。従って時の政権に反対することは公務員の範を超えていると思われる。
吉田松陰の歌にある大和魂が出てきたのにも驚いた。官庁の中心で予算を握る財務省の次官は、数ある省庁の筆頭次官である。出過ぎた真似をするなというのが政府の言い分であろうが、退任前の麻生財務相の了解を寄稿前にとってあったということで、官僚の独走とはみなされなくなった。
その中のこれだけは全国民に知っておいてもらいたい内容だ。
「わが国の財政赤字(一般政府債務残高/GDP)は256.2%と第二次大戦直後の状態を超えて過去最悪であり、他のどの国よりも劣悪な状態になっています(ちなみにドイツは68.9%、英国は103.7%、米国は127.1%)」
自民党総裁選での各候補者は国民受けのする政策をぶち上げた。当選した岸田首相は数十兆円と総額を言うだけで、どれに対して予算配分をするのか、与党内で検討すると言って何も具体的なものは出てていない。衆参の所信表明演説の与野党の論戦を見て、具体的なものは出てこない。どの候補者も財源についてはまさしくおぼつかない。消費税の減額まで野党は言い出す始末。矢野次官の消費税値下げに対する警告は聞くべきであろう。すなわち消費税を下げるとなれば買い手控えをして一時的な景気停滞をもたらすと。それはそうだ。500万の新車を買おうとしている人は、消費税10%なら50万、5%なら25万の消費税である。消費税が値下がりしてから買おうというのが当然である。住宅であればもっと大きな差額が発生する。
新型コロナ禍だから赤字国債を発行しても、借金で何とかしようというのは姑息な手段。選挙目当ての国民をだます手段でしかない。本当に政治家がやらなければならないことは、仕事を失い生活に貧窮しているシングルマザーや弱者の分析を精査して、本当に国民全体が幸せになることを考え予算配分しなければいけない。尚且つ経済成長も考えねばならない。補助金をもらい開店しているよりも貯金ができたという飲食店も散見され報道されている。また、高額な時計や乗用車が飛ぶように売れているという。「リベンジ消費」は至る所に見えるという。コロナ禍のもたらしたものは貧富の二極化である。
バラマキ予算が単なる衆院選挙目当てかどうか目を凝らしながら投票行動をする必要がある。財政規律を失った国の財政運用をすれば、将来の国民にツケを残すことになることを肝に銘ずるべきである。
(文責:岩沢信千代)