🗓 2022年10月03日
NHKで東西ドイツの統一を見ていて、ウクライナ戦争の原点はここにあったのかと理解できた。西ドイツコール首相とソビエト連邦ゴルバチョフ大統領との信頼関係があったために歴史的偉業は成就した。渋っているゴルバチョフにアメリカのベーカー国務長官は「東西ドイツが統一されてもNATO(北大西洋条約機構)は東方に1インチも拡大しない」と言明しゴルバチョフは折れて「ヨーロッパ共通の家」構想まで披露するようになった。
ところが1990年10月統一ドイツが成立した後のヨーロッパの力関係はどうなったか。
1949年米国ワシントンでNATOが成立し現在では北米2国と30か国が加盟している。それに対抗し1955年ソビエト連邦を中心にしてワルシャワで軍事同盟ワルシャワ条約機構が発足した。
1990年のドイツ統一後の1991年8月にゴルバチョフがクリミアで軟禁され同年12月にはソ連邦が崩壊した。長らく東西冷戦の時代が続いたが東西ドイツが統一された後、2004年にバルト3国がNATOに加盟しワルシャワ機構に属した多くの国が離脱した。
ウクライナやジョージアはNATO加盟希望国となり2022年10月1日にウクライナは正式に加盟申請を提出した。集団防衛であるので加入を認めればEU対ロシアの戦争になるので、ウクライナ戦争終結までは米国は受け入れないであろう。NATOの兵力と職員を合計すれば350万人規模である。そうなれば世界大戦となり核兵器の使用云々でなく人類滅亡の危機になる。プーチンは核使用のブラフをかけているが戦術核を使用すれば中国・インドもロシアに与しないであろう。なぜなら、その時はプーチンがウクライナの敵ではなく人類の敵となるからだ。
長い間米国1強の時代が続きオバマが「世界の警察官ではない」と言っても「1インチも東方拡大しない」という口約束を反故にしてきたことは間違いない。ウクライナがNATOに加盟すれば今までにあったロシア国境と緩衝地帯が無くなる。ロシアのロマノフ王朝の源流はウクライナのキエフ公国である。
プーチンが夜も眠れないほどの危機感を持ったことは間違いないし、今までも西側諸国には警告のアナウンスを行ってきた。今となっては皮肉にも北欧3国もNATO入りを希望するようになりロシアの孤立を深めただけの結果で進行している。落としどころが難しくなっている。兵士が戦意をなくせば戦争継続は難しくなり、その先は敗北である。戦争に負けましたとプーチンがいったら身内から戦死者を出している多くのロシア国民は納得するか。先日のプーチンの演説を見てもクリミア併合の時はスタンオベーションがあったが今回は見られなかった。ロシア国民も無謀な戦争だと気づき始めたのだ。クレムリン宮殿前赤の広場での4州併合の祝賀式典も学生のアルバイトとかやらせの動員(時給:4時間800ルーブル4000円)ではなかったかという話である。
今夜ノーベル生理学賞が発表されるのだが有力候補は新型コロナワクチンが可能になったメッセンジャーRNAの論文を発表したハンガリー出身のカタリン・カリコ氏である。車を売って命がけでハンガリーを出国して、米国で困難を克服して人類に役に立つ成果を上げた。かたや人殺しのプーチンがいて、新型コロナ禍を人類から救ったカリコ氏をワルシャワ機構は生み出した。カリコさんはIPS細胞のノーベル賞学者山中伸弥氏にヒントを受けたと感謝しているらしい。
受賞を祈念する。
(文責:岩澤信千代)