🗓 2019年11月02日

阪神タイガースと広島カープ(KくんとY君)

 
 前稿「クラシック」に出てくる広島県福山市出身のY君と奈良県奈良高校山岳部出身のK君とは大学時代いつも一緒にたむろしていた。私の結婚式前夜二人は我が家に泊まり飲めや食えやの大騒ぎであった。実家の蔵の二階からふたりは放尿した。証拠写真もどこかにしまってある。翌日の結婚式に差し障るからと私の祖母が「もう寝ろ」と注意するくらい3人で深夜まで飲んでいた。結婚式が終わってからも宿泊先の京王プラザホテルの部屋までついてきて帰ろうとしない。ある程度酒を飲んでから退出を願ったが、ほとほと困る友人である。

実はこの二人は極めて仲が悪い。当時野方のアパートにY君は住んでいたが、3人で飲んでいて、こと野球の話になると喧嘩になる。私には野球の知識がないが、「選手がいないときにうちのチームから選手をだしてあげたからおまえの球団が生き延びた」などから喧嘩口調になる。阪神ファンのK君の方が弁が立つ。そこで口では負けるY君は台所から包丁を持ち出しK君に襲い掛かる。刺されてはならじとK君は逃げる。私は殺傷事件になってはと二人を追いかける。冬の寒い中、追いかけるY君を追って仲裁したことが最低でも2回以上ある。雪道で転びそうにもなった。本当にY君に殺意があったかどうか今でもわからないのであるが、酒乱ということで済む話ではない。
 最もK君の神戸での結婚式二次会では3人で「六甲おろし」を歌った。一人が「六甲おろし」を歌うと店全体が大きな合唱になる。会津と文化の違いに驚いた。かくも関西はプロ野球が根付いているのかと不思議に感じたものである。

二人は水と油の関係であるが、私にはかけがえのない友人である。一緒にいるだけで安心できる。大学時代のかけがえのない遺産である。二人とも私たち家族と所々で交錯していて女房はもとより子供たちとも数度会っている。何かの折に何度も我が家に宿泊しているからである。卒業後、Y君は大阪にいて3人で飲む機会がないのが残念である

(文責:岩澤信千代)