🗓 2022年07月13日

前にも書いたが、私は睡魔を呼び込むために書棚から前に読んだ本を手当たり次第に引っ張り出して読み直している。現在海音寺潮五郎の「中国英傑伝」を読んでいたら韓信が出てきた。よく知られている話である。若い頃、町のゴロツキに絡まれたが言われるままにゴロツキの不当な要求に応じごろつきの股をくぐった。その後、韓信は大成し、張良とともに劉邦の漢国立国で活躍した大将軍となった。この故事にちなんで「大事をなすものは小事にとらわれない。」「将来に大志を抱く者は、屈辱にもよく耐えるというたとえ。」として使われるようになった。

なので私は韓信は、一生幸せに過ごしたものと思っていた。ところがこの本を読んでいたら、違った。韓信は劉邦から与えられた領土や位階に不満を持ち、匈奴(中国の外敵)と組んで劉邦に謀反を起こした。そのため策略によりおびき出され誅殺された。今大河ドラマでやっているが、頼朝の鎌倉時代でもそうだが、武将が命がけで戦ったご褒美は領地である。必ずこの恩賞の与え方により不平不満が出る。

米国の社会学者が実験を行ったという。A評価のみのグループとABC評価の混合グループと成果を競わしたという。Aグループでも成果に対して報酬に差が出る。トップの評価で今まで多くの報酬をもらっていたのが差別化されるのであるから当然不満が出てくる。優秀な人々だけの集団はもろい。それに何をもって優秀とするのだ。人間はみなそれぞれ素晴らしい美徳を持っている。

国家もそうである。障害のある人や女性蔑視とか問題外である。ダイバーシテイ(多様性)を認め合う社会こそがよりよい社会なのだ。

(文責:岩澤信千代)