🗓 2022年07月14日

東京電力の福島第一原子力発電所事故の株主代表訴訟の東京地裁判決は、画期的なものである。今回の裁判の特徴は東電旧経営陣の賠償責任を認めたことにある。

被告は専門家の長期評価は信頼できるものではないと責任逃れをしてきたが、それが通用しなかった。すなわち見識,知見がある専門家が出した結論をないがしろにした無作為について弾劾したことにある。

「事故対策をおこなう善管注意義務があったのに任務を怠った」として旧経営陣の賠償責任を認める結論に至った。

さて、旧経営陣は13兆円を東電に支払えという判決は、実際には4人が自己破産をしても支払える金額ではない。

株主訴訟であるから、被告は経営主体の「無過失、無限責任」を定めた原子力損害賠償法(原賠法)に基づいて賠償しなければならない東電に支払えというものである。旧経営陣は東電に対し損害を与えたので。被告は東電に賠償しろということである。

問題は巨額の支払いが確定しても被告に金がなければ賠償金を回収できないということである。過去の多額の賠償金支払いの判決があったが。会社と少額金で和解するとかうやむやになっているケースが多いという。

しかし、この判決はいい加減な経営者では、多額の賠償責任を負わせられるよという戒めになり、経営には善管注意義務は必要だと国内の経営者に警告した画期的な判決といえる。

(文責:岩澤信千代)