🗓 2023年01月05日
米国下院議長が決まらない。共和党の20人が造反し立候補者のマッカーシーにまとまらないようだ。100年以上前にも同様なことがあり133回も投票を繰り返したことがあるそうだ。議会は予算の決定権を持っている。
問題なのは造反20人のほとんどがトランプ系であり、ウクライナ支援に極めて消極的というか反対の立場である。2兆円の支援はすでに決定されているが波乱要因でウクライナが戦場に取り残される危険が増大する。今の下院の構成は共和党222に対し民主党212である。上院はかろうじて民主党が抑えているが、バイデン大統領の政策運営が制約されるのは間違いない。
ウクライナ支援も含めて対中強硬論にも影響する。台湾有事に米国が日本と行動を協調できるのかも疑問符が付き、対岸の火事ともいえない。安保条約が本当に機能するのか有事になってみないとわからないのが日本の現状なのである。
米国ルーズベルト大統領は反戦気分が濃厚な時に日本軍の真珠湾攻撃があり「リメンバー・パールハーバー」の合言葉で国民世論を賛成に誘導した。広島長崎の原爆投下もその延長線上にある。
日本では幕末薩摩が江戸市中に放火をし、庄内藩の薩摩藩邸焼き討ち事件を起こさせた。西郷隆盛がにんまりしたという。開戦の口実とみたのである。徳川家康は上杉征伐と言って栃木県まで出陣し、石田三成の挙兵を引き出した。
戦争の誘因はいろいろあるが、ここで抑止論が出てくる。ただ戦争になれば兵器弾薬の補給や他国の応援など膨大なコストがかかることになる。
米国の分断は世界中の秩序や平和に深く関わっているので大いに気になるところである。日本では岸田政権の脆弱性も看過できない。
最後に今読んでいる文藝春秋新春特別号に掲載された藤原正彦氏の文章から引用する。2015年に行ったギャラップ社の世論調査である。「あなたの国が戦争に巻き込まれたら進んで戦いますか」の質問に対し日本は「戦う」と答えた人が11%で最下位だったそうだ。ちなみに中国71%ドイツ18%である。太平洋戦争敗北後、日本は武装解除と共に民主主義という美名のもとに牙を抜かれた。いわば入れ歯で食事をしているようなものだ。ウクライナにはコサック兵の伝統が残るが日本にサムライの武士道は最早残っていないのが実態であろう。でも、「教育勅語」の教育に回帰することは最早不可能である。来年は国連安全保障会議の非常任理事国になる。ウクライナ戦争真っ盛りに議長国だ。日本のプレゼンスを示すようにしなければならない。外交による戦争回避は一番の武器なのである。アニメやたこ焼き目当てに日本にたくさんの観光客が来ている。観光客一人一人に日本に対する親善の気持ちを醸成させることも重要だと国民は自覚しなければならない。「あんなにいい日本人と戦争はしたくない」というファンを地道に作っていかねばならない
(文責:岩澤信千代)