🗓 2025年12月16日

昨夜NHK「バタフライエフェクト」で台湾の130年の歴史を見た。日清戦争で日本に割譲され、蒋介石が中国本土で共産党に敗れ台湾に中華民国を打ち立てた。蒋介石・蔣経国親子の独裁政治に終止符をうったのが李登輝である。彼は京都大学を出て、今の経済を打ち立てた。モリス・チャンが創設したTSMCは先端半導体の世界シェアー60%と言われる。

軍備ではなく経済の勝利を勝ち取ったのは李登輝の先見性のおかげである。1987年戒厳令が解除され1988年に副総統だった李登輝は初めて本省人として総統になった。直接選挙によってはじめて台湾のリーダーになった。TSMCは台湾の守り神と言われる。熊本に大工場を作った。日本人の雇用と半導体の供給は日本の安全保障に大きく寄与する。

しかしアメリカのニクソン・日本の田中角栄が中国人民共和国を認めたことにより国際連合からはみ出され国交があるのは12か国しかし経済の結びつきがあるのは190か国に及ぶ。シャープを買収した鴻海工業を含め台湾の半導体会社を抜きに世界経済を語ることはできない。

高市首相の国会答弁をきっかけにして中国共産党は日本にナーバスになっているが、本質は台湾の領土でなく半導体産業である。アメリカはニクソンが中国共産党を認知したが、それは台湾を見限ったからだ。今になって台湾が大事だと言って防衛する、日本も国家存立の危機などと言っているが根っこは、共産党支配の中華人民共和国を中国の代表と認めたからである。

わかりやすく言えば、台湾を見限った日米が、半導体で優秀な台湾を今になって自分の庭に引き込もうとしているだけだ。一つの中国を目指す中国がおめおめと引き下がるはずがない。高層ビル火災で多数の死者を出した香港当局は言論抑制をし、政策当局の責任を、明確にしていない。誰が見ても工事を許認可した当局のずさんさは明白だ。もし台湾が中国共産党に組み込まれれば、台湾人も香港人のようになり民主国家に生きることはできない。

共産党独裁の下では李登輝が目指した国家像とは別の景色があるのみだ。台湾には本省人と中国大陸から来た外省人との軋轢がある。中国は軍事侵攻ではなく、親中国寄りの国民を養成し選挙によって新中国寄りの総統を選ぶ工作もしている。そうなれば、日米は軍事介入はできなくなる。台湾国民が選択したものに難癖をつけるのは今進行中のベネズエラのように反米政権を武力で覆そうという発想に近い。

(文責:岩澤信千代)