🗓 2025年01月06日

 日鉄は以前から言っていた提訴を行った。訴訟の相手はバイデン大統領・米鉄鋼会社クリーブランド・クリフスCEO、全米鉄鋼労働組合(USW)会長である。バイデンの禁止命令は対米外国投資員会(CFIUS)の審査手続きに政治的な干渉をしたというものだ。実質的な調査に基づかずに結論が出たと言っている。バイデンの禁止命令は30日以内に買収計画を完全に放棄するための措置を講じろというものだ。2月2日が期限になる。なぜ、「安全保障上の問題があるのだ」と石破が吠えたが、焼け石に水だろう。USスチールと日鉄の共同提訴だ。日本企業が米国大統領相手に訴訟を起こすなど前代未聞だ。国家安全上の懸念に対する証拠が提示されていないと主張している。

 私はこの問題は勝負がついたと思っている。バイデンが認めることだけがトランプのちゃぶ台返しを阻止できたのである。トランプは統合反対を表明して大統領になった。石破首相は朝礼暮改を平然とするがトランプの方が自分の言葉に忠実だ。

 日鉄は土俵から投げ出されたのに土俵に戻ってきてハッケヨイしろと言っているに等しい。敗因は大統領選挙の時に合併しようとしたことである。民主・共和党両候補ともUSWの85万票の票を無視できなかった。890億円の違約金がUSスチールに支払われても焼け石に水だろう。米国はUSスチールがつぶれてもいいのか?クリーブランドはUSスチールが消滅するなら救いの手を差し伸べることも考えているのか。日産はルノーに身売りしたが、時がたちホンダの軍門に下った。ホンダもリスクを背負った。クリーブランドがUSスチールを助けられるのかい?日鉄とUSスチールが結婚したいのに舅が反対している構図だ。890億円と裁判費用を合わせて特別損失を日鉄は抱え込むことになるのだろう。

とはいえ、日鉄の望みが成就することを内心では応援している。

(文責:岩澤信千代)