🗓 2023年12月28日
来年1月13日は台湾選挙である。「台湾有事」すなわち中国が台湾を武力で制圧する危機のことがどうなるかに直結する。この台湾有事に日本が巻き込まれると大変なことになると日米両国は防衛戦力を強化しようとしている。防衛費増額の最大根拠である。
しかしながら、台湾人自身が親中派の総統を選んだらどうなるか。日米がいくら台湾を民主国家グループにとどめようと思っても大幅な戦略の見直しが求められる。台湾国民が中国に組み込まれることを選んだらよそ者の日米がいくら騒いでもどうしようもない。
賴清德(民主進歩党→現与党・台湾独立派)・・・蔡英文(ツァイ・インウェン)総統の後継として路線を引き継ぐ
侯友宜(中国国民党→現最大野党・中国との友好または統一を望む)
柯文哲(台湾民衆党)
郭台銘(無所属)
などが出馬に意欲を示した。郭台銘はシャープを買収した鴻海のCEOであるが、すでに撤退を表明している。
現野党の侯友宜・柯文哲は「両岸一家親(台湾と中国は家族)」と親中国派である。野党系総統が誕生すれば、中国寄りになり、台湾有事の可能性はぐんと低くなる。柯文哲は「台湾の自治、両岸の平和」を提唱している。柯文哲は台湾の独立を支持せず、中国大陸との平和的な関係を重視している。香港の例をみれば平和的な関係などないだろうに。
香港はどうだったか。イギリスから返還され一定の期間は高度の自治を認められたはずだったが、今では中国の法規制の元、自由にモノが言えなくなった。かっての女性活動家はカナダへ亡命せざるをえなくなった。もはや雨傘運動などできなくなった。
野党系総統が誕生すれば「台湾有事」のリスクは大幅に減少する。ただし、そのことは台湾を民主国家グループにとどめておきたい米国の思惑にとっては大幅な誤算となる。台湾有事は中国共産党ではなく米国の陰謀によって引き起こされるかもしれない。
野党の総統候補はいずれも親中国であるが、一つの経済圏に属したくないなど中国一辺倒でもないが。言論の自由を含め中国共産党の手先になっていく危険性をはらむ。香港から自由を奪ったという実績が習近平政権にある。
いま日本は安倍派のキックバックに目がいってるが、台湾の選挙の方が国際政治力学の問題で重要なことだと忘れてならない。2024年は世界中選挙の年になる。猫がサンマを盗んだと同じくらいの低次元問題であるキックバックに注意しているのではなく、このような国際政治がより重要なことであると認識せねばならない。
ドイツも今NATO寄りのウクライナ支援をしているが、本音はロシアからガス・石油を輸入したがっている。安定してエネルギーを輸入できるなら、国家にとってのコストが低く抑えられるのだから当然だ。
台湾国民の選択が大いに気になる。
(文責:岩澤信千代)