🗓 2025年11月29日

吉海 直人

みなさんはクリスマスをどのように過ごしていますか。そもそもクリスマスはキリストの降誕(聖夜)を祝う宗教行事ですよね。ですからChristmasの語源は、キリストのミサ(mass)とされています。クリスチャンだったら教会に集まってミサに参加するのが普通かと思います。
 クリスチャンでない多くの日本人は、宗教とは切り離されたクリスマス行事を楽しんでいることでしょう。といっても、日本人はクリスマス当日よりも、クリスマス・イヴの方を楽しみにしているのではないでしょうか。というのも、クリスマス・ツリーやサンタクロースのプレゼント、クリスマス・ソングを含め、もはやクリスマス・イヴは日本の年中行事の一つといっても過言ではないからです。
 クリスマスケーキに至っては、もともとケーキを食べる習慣は外国にもなかったようです。アメリカにしても七面鳥は食べますが、クリスマスケーキは食べていません。どうやらこれはバレンタインのチョコレートと同様に、ケーキ屋さんが仕掛けた商法(戦略)のようです。その仕掛け人はあの不二家で、1910年からクリスマスケーキを販売し始めています。それにまんまと乗せられて、私たちはケーキを買っているわけです。
 もちろん家族揃ってケーキを囲む一家団欒というのも悪くないですよね。またいつの頃からか、クリスマス・イヴは若いカップルが一緒に過ごすという風習も広まってきました。ここで本題に入ります。みなさんはクリスマス・イヴの「イヴ」はどんな意味かご存じですか。多くの人は「前夜祭」と答えるかと思います。答えは簡単で、イヴは「evening」の略です。ですから夜は夜でも「前」夜という意味ではなかったのです。
 このことはNHKの人気番組「チコちゃんに叱られる!」でも取り上げられました。例によって「ネーネー岡村、クリスマス・イヴって何?」という質問があったのです(平成30年12月21日放送)。その答えはまさに「クリスマス当日の夜」でした。それに対して「えー、イヴは24日の夜じゃないの?」という疑問の声もあがりますよね。
 ここに暦の違いというか難しさがあります。もともとクリスマスをいつにするかは決まっていませんでした。それを冬至の日に決めたのです。というのも冬至以降はだんだん日が長くなっていくからです。その後、暦の大きな変遷がありました。現在でもユリウス暦を使用している宗派(エルサレム総主教庁・ロシア正教会など)だと、クリスマスは1月7日になります。これは現行のグレゴリオ暦と13日もずれているからです。
 もう一つは一日の始まりをいつにするかです。現在は午前零時から翌日になりますよね。要するに深夜に日付変更時点が設定されているわけです。原始的な社会では、日の出から一日が始まるとされているところもありました。それと反対に、一日は夜から始まるとされているところもあります。一日は日没で終わると考えるとわかりやすいはずです。
 ということで古代のユダヤ教では、日没をもって日付が変わるとされていたのです。当然25日は24日の日没から始まることになります。それは決して前夜ではなく、当日の夜だったわけです。これが基本にあるので、24日の夜がクリスマス・イヴと称されたのです。逆にいうと25日の夜は既にクリスマスを過ぎていることになります(25日のクリスマス・ケーキ!)。でも現在の暦の感覚からすると、「前夜」の方がしっくりきますよね。