🗓 2025年11月02日
「歴史と旅」(昭和60年11月号)に載った李家正文氏の文章にあった。
「なんですか、あなた方は、身を飾って心を飾ることを知っていませんね。ともに女ですが、習いは全く違います。むかし堯・舜は仁と義とで身を飾り倹約して家の屋根もあばら家でした。同じ王なのに紂王は高台を築いて、美女と戯れ国を滅ぼしたではありませんか。自分も死んで天下の笑いものとなりました。少しは考えてみたらどうでしょう。」女官たちは参って恥じ入り閔王はこの首筋にこぶのある女を妃にした。王の徳・妃の賢明を聞いて国は栄えた。
古代中国春秋時代の斉の閔王の時である。前段は王が宮中を出て東郭に遊ぶために豪華な馬車を仕立て行列していたが、見向きもせずに桑を取っていた首筋にこぶのある女に興味を持ったことからの話である。宮中で出迎えた女官たちは身なりがみすぼらしくこぶがある女を嘲り笑った。その時に放った言葉である。
新島八重の「美徳以為飾」に通じると思いませんか。「心を飾る」いい言葉ですね。
(文責:岩澤信千代)
